今回は、私自身の体験を基に、自称「うつ病」の人が休職等をせずに職場に居続けて、人事部や現場責任者が何の対策も取らないと、いつかは職場崩壊しますよ、という話をしていきます。
こんな自称「うつ病」上司と仕事をしていました
- 口悪い。(取引先の担当者さんや部下、日本語ペラペラだけどちょっと母国語訛りのある外国人社員さんに対して、「はぁ?」「だから何すか?」という物言いをする。)
- 朝令暮改。
- あった事を無かった事にする/無かった事をあった事にする等、都合よく責任逃れ。
- 何かあると、「俺知らん」「聞いてない」。
- 偉い人が来ると、喫煙室へ逃げる。
- 仕事は基本しない。
- それでも本社への報告書はそれっぽく書く(部下がまとめた報告書の切り貼りですが…)ので、人事部からの評価悪くない。
本当に、最悪な上司でした。私はこの環境で約8ヵ月間仕事し、適応障害を患い、休職しました。
こんな上司の下で、私を含めた従業員に、如何にして鬱々とした空気が伝染し、職場全体が病んでいったのか――以下、フェーズ1~5に分けて記していきたいと思います。
【フェーズ1】周囲の人間に「一時的に」しわ寄せがくる
上司が「うつ病」のせいで、上司としての仕事を殆どしなくなりました。でも当然、その仕事は消えません。誰かがやらねばなりません。
しかし、こちらも当然の事ですが、周囲の人間は各々自分の業務を持っています。よって上司の仕事を「一時的に」みんなで分担してこなして行くことになります。
上司が出勤しているのに仕事しないとか、普通に宜しくない状況ですが、まだ職場は「みんなで協力して頑張ろう!」という雰囲気だったので、メンタル的には余裕がありました。
しかし、この頃から残業が増えました。
【フェーズ2】しわ寄せが一時的じゃなくなる
「うつ病」上司は、自分が仕事をしなくても職場が回るという事に気が付いてしまったので、益々働かなくなったのと同時に、やってもらう事が当たり前と感じ始めたのか、より態度が高圧的になっていきました。
「好意が続くと権利になる」っていう言葉を聞いたことがありますが、正にコレです。
事実、「まだ出来てへんのか?」「はよやれ」「なんやこれ?」と、自分が仕事しないことは棚に上げて、私が肩代わりした仕事についていちゃもんを付けてくるようになりました。
この頃には、既に残業が常態化していたので、肉体的な疲労がひどくなり、強い眠気と食欲不振に苛まれるようになりました。
【フェーズ】職場に余裕がなくなり、「いい人」に対する八つ当たり(≒イジメ)が始まる
皆心に余裕がなくなり、イライラを隠し切れなくなります。結果、今まで協力して「うつ病」上司の穴を埋めてきた仲間は、そのストレスのはけ口を探し始めます。
そのはけ口になりやすいのが、気の弱そうorニコニコ優しい「いい人」です。「いい人」になら、酷い事を言っても許してもらえそうだし、反撃されなそうなので、安心して八つ当たり出来るからです。
かくして、職場内イジメが始まるのです。
「いい人」だった私は、今まで協力して苦難を乗り越えてきた先輩や、パートさんにまで、静かなイジメを受けるようになり、出勤前、出社したくなくて絶望的な気分になり、泣くようになりました。
イジメ具体例
- 自分にだけ仕事が多めに振られるようになる。
- 仕事が期限に終わらなそうな時、今までは快く手伝って貰えていたのが「あなたの担当なんでしょう?」「やりなさいよ」と手伝ってくれなくなる。
- 指示していない仕事を勝手にされた挙句、その仕事のミスについて私が責任をかぶる。
【フェーズ4】現場を支える人が去ってゆく
文字通りの状況です。
「いい人」で、皆の感情のはけ口になっていた私。面倒な仕事を丸投げされる対象だった私。
そんな私は、ある朝、顔中に湿疹が出ました。それを鏡で確認した途端に、涙が出てきて、無断欠勤し(お昼ごろに電話で休むと伝えました。)、翌日に病院で適応障害と診断され、休職することになりました。(今は退職しています。)
又、これは人に聞いた話ですが、私が居なくなってから約半年後、仕事の出来る先輩社員が、職場から居なくなったそうです。正確には分かりませんが、きっと転職だろうとの事です。後手後手のその場しのぎの仕事ばかりを任せられ、やりがいのある仕事が回ってこない状況に、きっと嫌気がさしたのでしょう。
「いい人」の社員と、仕事の出来る社員。現場を支えるこの2種類の社員は、こうして消えていきました。
※自称「うつ病」上司は、私が休職した1~2週間以内に消えたそうです。
【フェーズ5】職場崩壊
今まで仕事を支えていた&ストレスを受け止めてくれた人が居なくなったことで、残された従業員の肉体的・精神的負荷が急上昇します。
すると、従業員のモチベーションは下がり、職場の空気は更によどみます。
結果的に、仕事が進まない上に雰囲気も悪い、陰鬱とした職場が出来上がります。こんな職場、(人事部があっせんしない限り)優秀な人材は絶対に寄り付かないでしょう。
あんなに「協力して頑張ろう!」という明るい職場だったのに、自称「うつ病」上司がきっかけで、現場は鬱に伝染されてしまい、もはや、沈みゆく船になってしまったのです。
最後に ~この記事を書いた目的~
あの上司が本当にうつ病だったのか否かは最後まで謎でしたが、多分仮病だったと思います。だって、消えた2ヵ月後には復帰していたみたいだし、そもそも本当のうつ病患者さんは真面目で優しい人が多いみたいだから、嘘つくとか人に無礼な口の利き方とかしないはずだし……。
少年法を盾に好き放題悪事を働く10代不良の如く、「うつ病」と自称することで、周囲が下手に注意できないのを良い事に、上司という地位と給与は保持したまま、好き放題振る舞って周囲を疲弊させる悪党がいたものだな――入社2年目にして社会の闇を感じました。
今、精神を病む人は珍しくありません。私も適応障害を経験し、半年間仕事を休んでいます。だから今、精神的な病に対する理解を深めましょうというメディアが増えてきているのは理解できます。それは、一度リタイアしてしまった人が又社会に戻ってこれる環境を作るという意味で、とても良いことだと思います。
しかし、ネットに落ちている記事は盲目的な性善説に基づく「彼・彼女らは甘えじゃないの。理解してあげて下さいね。」という論調ばかりで、現場を支える為に周りで辛い思いをしながらも奮闘している側が、あまりにも軽視されているように感じました。
……自称「うつ病」人間に痛い目に遭い、精神病を経験した身としては、こうした論調に対して物凄い違和感を覚えます。
だから今回、私はこの記事を書きました。この記事を見て、精神的に病んでいる人が職場にいる時の対応について、もう一度考え直してみようと思う方――特に、人事部や現場管理職の方――が一人でも増えると、嬉しいです。