優しくも力強い、やなせさんの名言たち
最近、やなせたかしさんの『明日をひらく言葉』という本を読みました。
やなせたかしさんといえば、言わずと知れたアンパンマンの作者ですよね。
でも、凄く意外なのですが『それいけ!アンパンマン』を刊行して人気が出始めたのは、やなせさんが56歳の時で、アニメ化したのが69歳の時――やなせさんは、遅咲きの人だったのです。
この『明日をひらく言葉』には、そんなやなせさんの仕事観や人生観が、やなせさん自身の経験談と共に詰まっています。
私は、色々あって会社員をやめ、今はフリーランスで在宅ワークをしておりますが、十分な額は受注出来ておらず、20代後半という年齢にも焦りを感じています。
この本の言葉は、そんな不安定な自分の心に、スッと優しく刺さり、勇気付けられました。
前置きが長くなりましたが、今回はこの『明日をひらく言葉』の中で、特に私が勇気付けられた言葉を12個紹介していきます。
仕事
① 人生は椅子取りゲーム。
人生は椅子取りゲーム。
満員電車に乗り込み、あきらめて途中下車せずに立ち続けていたら、あるとき目の前の席が空いた。
私自身、やなせたかしさんは絵本作家だと思っていたのですが(実際にそうでもあるのですが)、本人は漫画家志望だったそうです。
でも、やなせさんが生きた時代の漫画界には、手塚治虫さんはじめ多くの巨匠が現役で活躍していました。
10代の頃から漫画家になりたいと思い、漫画を描き、でもヒットに恵まれず、漫画に関係のない仕事を頼まれるままにこなしてきたやなせさんは、当時漫画家として活躍する先輩・後輩を寂しく目で追っていたそうです。
でも、そんな才能ひしめく「漫画の満員列車」に立ち続けたら、ある時席が空いたそうです。
周囲の優秀な人たちと違って、私はどうして報われないのだろう……こんな風に心が沈んな時に、「大丈夫!あきらめないで!」と背中を押してくれるような名言です。
② 運にめぐりあいたいなら……
運にめぐりあいたいなら、なんでも引き受けてみるといい。
自分の専門分野以外のことに広く眼を開き、経験したほうがいいのです。
- 新しいことに挑戦するのはすごいチャンスだと思う。声をかけられたら、「できない」と断らずに、無理やりでもやってしまえばいいんだ。
- 専門分野以外の仕事をしているうちに、それが化学変化を起こしていくこともある。新しい人間関係が広がることもある。
私は新米WEBデザイナーとしてクラウドソーシングをしておりますが、「こんなのやったこと無い」「できないかもしれない……」と、業務を始める前から尻込みをしてしまい、「今の私では無理だ」と勝手に納得して受注を見送ることがあります。
そんな自分に対する喝!になりました。
③ いまの仕事に不満をもっていたら……
いまの仕事に不満をもっていたら、天職には出会えない。
「この仕事は向かない」「この仕事は不満だ」と言って熱を入れずにただウロウロしているだけなら、一生、そのままで終わってしまう。
仕事でイライラしている時、グサッとくる言葉です。
④ 好きなものであれば……
好きなものであれば、コツコツ努力することも決してつらくありません。
楽しみながら、いつのまにか何かをつかむことができます。
失敗を恐れず、絶えず挑戦を繰り返して、やっとつかむのです。
「好きなことなら、少々労働条件が悪くても、つらいとは思わない。」
つまり、好きな事であれば、挑戦→失敗→挑戦→……(→成功)という、トライアル&エラーを楽しむことができるので、比較的ラクに成功に近づくことができるという事ですかね……。
これについては、「確かに!」って思います。
私は、安定だけど心理的負荷大の会社員生活をやめ、今は不安定なフリーランスとして朝方まで徹夜作業をするという生活をしていますが、それ自体は全然苦しくないです。
むしろ、納品するごとに達成感や成長を感じられて、取引先と連絡するのさえウキウキします。
⑤ 平凡でささいなことを積み重ねれば……
その日、その日を大事に、一歩一歩積み上げていく。
その平凡なことを何十年も続け、ささいな事を積み重ねるならば、
いつの日か平凡は非凡な結果に変わるのです。
やなせさんは、下積み時代が長い方だったようです。
50代になるまで代表作に恵まれず、ひどく悩んだ時期もあったそうですが、それでもひたすらに絵を描き続け、本業に関係のない文章の仕事も引き受け、とにかく仕事をこなしてきたやなせさん。
そうした積み重ねの先に、アンパンマンがうまれました。
⑥ あまり才能に恵まれていない者は……
ぼくのように、あまり才能に恵まれていない者は、ゆっくりと走ればいい。
「あきらめるな!」と自分に叱咤しながら、目の前1メートルぐらいの地面だけ見て走り続けるというやり方です。
さっきも言ったとおり、やなせたかしさんは元々漫画家志望でした。
でも、手塚治虫はじめ、周囲のスゴイ漫画家たちを見回してみて、自分は才能に恵まれていないと感じたそうです。(あのやなせたかしにも、そんな葛藤があったんですね……。)
そんなやなせさんが、人生という長距離レースの中で行き着いた成功哲学なのです。
人生
⑦ 劣等感は……
劣等感はまったくくだらない感情です。
こんなもの捨てるにこしたことはない。
この後の名言にも言える事なのですが、やなせさんは、どんなに頑張ったって、何かしら不幸はあるし、傷つくものであるという風に話しています。
そして、そうした経験全てに意味があるんだと。
やなせさん自身、運動が苦手で劣等感を持っていたことがあるそうですが、その一方、勉強のできる優等生も経験した事があって、「光と影の両方を知ったことは、ぼくにとって大きな財産になっている。」と語っています。
つまり、心に劣等感を生じさせるような惨めな経験をしたとしても、その経験こそが財産なんだから、劣等感なんか感じなくて良いんだ、ということでしょうか。
すごくポジティブで、多くの人を肯定してあげられる、素敵な言葉です。
⑧ 好きなことや得意があるということは……
体が小さくてコンプレックスの塊。絵が自分に自信をもたらしてくれた。
好きなことや得意があるということは、いいことですよ。
心のよりどころになるし、いつか自分を助けてもくれる。
「好きこそものの上手なれ」、最近なら「努力は夢中に勝てない」という事でしょうかね。
本記事 ④好きなものであれば…… でも同様の事が書かれていますが、好きなことであれば、コツコツ努力することも辛くないので、楽しみながら、いつの間にか何かをつかむことができます。
ちなみに、好きなことが見つからないという人に対し、やなせさんは「とにかく必死で探すのだ。絶対に何かひとつはあるはずだ。」とおっしゃってました。
⑨ 地獄を通過したほうが……
危難と地獄、辛酸のなかに重要な何かがある。
長い人生では、1回や2回は地獄を通過したほうが、かえっていいのかもしれません。
やなせさんは、21~26歳の時に軍に召集されました。そして、戦争に軍人として参加した際、厳しい食糧難と飢えを経験されました。
飢えは本当に辛かったそうです。でも、この経験が後にアンパンマンに結び付いたそうです。
どんな地獄であっても、それを全て「経験」にして、その後の人生の糧にしてしまう――こうした姿勢は、凄くポジティブだし、でも全然難しい事ではなく、やろうと思えば誰でも再現できる姿勢でもあります。
だからこそ、本当に勉強になる名言だと思いました。
⑩ 人間が一番うれしいこと……
人間が一番うれしいことはなんだろう?
…(省略)…実に簡単な事です。
ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい。
お母さんが美味しいご飯を作ろうとするのも、お父さんが仕事を頑張るのも、子供が何かをやったり描いたりして「ママ、見てみて~!」と言うのも、詰まる所は家族の誰かの喜ぶ顔が見たいから、という所に行き着きますね。
もちろん、自己満という動機もあるかもしれませんが、自分一人で満足するよりも、誰かに喜んで貰った方が、ずっと嬉しいですよね。
自分が人を喜ばせることができる何かを持っていること、それを自覚することは、天職に近づく大きな一歩になります。
⑪ 傷つかずに生きていこうと願うけど……
なるべく平和に、なるべく傷つかないで生きていこうと願っている。
それでも、なお、傷つくのだ。
手も足も出ない。まるでダルマのように。
ダルマはまた起き上がるが、私たちは時として再起不能になる。
どんなに気を付けて生きていたって、必ず何かしらの不幸は起こるもので、それは生きている証拠なんだと。
逆に、傷つかないという事は、何もしていないという事なんだと。
どうせ無傷ではいられないんだから、元気に戦って、泣いて、笑って、感動して、精いっぱい生きましょう。
厳しいけれど、とっても優しい名言です。
⑫ 無駄なことはひとつもない。
今までやってきたことが、全部、役に立っているんだよ。
無駄なことはひとつもない。
「あの時、ああしていれば良かった」
「なんであんな会社に入ったんだろう」
ふと過去の嫌な思い出が出てくる時、こんな事を思い、過去の自分を恨むことがあります。皆さんも、そういうこと、あるかと思います。
でも、この言葉で過去の自分を全て肯定できます。
「パワハラと休職を経験して、自分は会社員に向いていないと気が付けた」
「あの上司を経験したから、ヤバイ人を回避できるようになった」
無駄なことはひとつもない。
シンプルでポジティブな素晴らしい言葉です。