この記事を開いた方の中には、何らかの理由で休職を考えている方がいらっしゃるかと思います。
当然ですが、休職すると、給与が無くなり、生活が困窮します。
そんな時に、多くの休職者の助けになるのが、傷病手当金です。
今回は、傷病手当金についての簡単な説明と、「実際問題それだけで生活できるのか?」という話をして行きます。
傷病手当金とは?
傷病手当金とは、
会社員の人が病気やケガの療養のために仕事を休み、給与が支給されない時に、休職者(と、その人の扶養に入っている人)の生活保障の目的で、健康保険組合から支給されるお金です。
労災の休業補償と違うのは、療養すべき「病気やケガ」が、就業中に起きたものじゃないと認められないのか、それ以外でも認められるのか、という点です。
- 休業補償なら、就業中に罹災した病気・ケガでないとダメ。労災保険から出る。
- 傷病手当金なら、就業中でない時に罹災した病気・ケガでもOK。健康保険から出る。
傷病手当金の支給金額は、1日につき、標準報酬日額(=あなたの平均的な日給)の3分の2相当の額です。
労働していないのにこんなに頂けるなんて、中々スゴイ事ですよね!
但し!仮病者にこんな額を出すわけにはいかないので、申請の際には必ず病院の診断書が必要になってきます。
また、当たり前ですが申請しないともらえません。休職したからといって、待っていれば自動的に貰えるお金ではありません。
そして、申請~支給までは、約1カ月程の時間がかかります!
「休職する。でも、貯金が底をつきそうだ……」という方は、所属している健保組合のルールに沿って、一刻も早く申請するようにしましょう。
私がリアルに貰っていた額
私は新卒2年目に休職し、健保組合から傷病手当金を貰っていました。
基本給18万円のぺーペー社員だったのであまり期待していませんでしたが、毎月30時間前後は残業していたので、ソコソコまとまったお金をを貰えていました。
12月中旬~3末の3.5ヵ月間で、約66万円支給されていました。
ザっと計算して、月々約19万円貰えていたことになります。
(何回か自宅サビ残して勤務時間減らしていたのいたにも関わらず、基本給以上の金額を貰えるってすごい……!)
しかもこれは所得(=労働の対価としてのお金)ではないので、所得税が引かれず全部もらえます。
「あれ、こんなに貰っていいの?」って感じですよね。
しかし!働かざる者、そんなに甘くはありません。
ここには落とし穴があります。
【悲報】ニートは甘くない!無所得でも発生する社会保険料&住民税
「マイナス給与」と住民税
労働していないので所得は発生しませんが、以下3種の社会保険料を合わせた額が、月々マイナス給与として「支給」され、会社が建て替えてくれた分が後日請求されることになります。
- 傷病手当金でお世話になっている、健康保険料
- サラリーマンの宿命、厚生年金
- その他もろもろの徴収金(私の場合は、社宅家賃の自己負担分)
私の場合、初めの1カ月は有休を消化していましたが、有休消化後は月々約6万円のマイナス給与が発生し、会社に支払っていました。
更に、住民税も払わなければいけません。
- 住民税
住民税は、会社から請求される社会保険料と違い、マイナス支給となった時点で、給与天引きで納付する「特別徴収」から個人で納付する「普通徴収」に切り替わるので、会社からではなく、市町村から自宅に請求書が届くようになります。
私の場合、年間約17万円請求され、約4万円ずつ、4回に分けて納税していきました。
住民税は前年度の所得額を基に決定されるので、休職中(月収入約19万円)に昨年のフル労働時(月収入約27万円)分の住民税を払うのは、中々痛い支出でしたね……
傷病手当受給中の手取り額
で、結局私の手取りはいくらだったんだって話ですが、
- 傷病手当金 :約19万円/月
- マイナス給与:約6万円/月
- 住民税 :約14,000円/月(月払いはしていませんが、便宜上12ヵ月で均しました。)
なので……
【傷病手当金】-(【マイナス給与】+【住民税】)
=190,000 -(60,000 + 14,000)
=116,000円
こうなります。
月手取り11万円ちょっと。
ここから電気・水道・ガス・通信費用が引かれます。私の場合は社宅だったので家賃を払う必要はありませんでしたが、そうでない場合、ここから家賃も引かれます。
例えば月々8万円のお部屋だったとしたら、家賃を引いただけで、手取り3万円ちょっとです。
そう考えると、傷病手当金だけに頼って休職するというのは、かなり心もとないという事が分かります。
【結論】貯金できる時に貯金しとこ
「傷病手当金だけで生きてけるか?」という問いですが、無駄な出費や、身の丈に合わないような家賃の住まいでなければ、そして、養うべき人が居なければ、可能です。
ただし、特殊な医療を受ける場合や、気分転換に遠出したいと思った場合には、足りなくなってきます。
だから結局、貯金は大事ってところに落ち着きますかね。
将来どうなっているか分からないんだし、何より今を楽しみたい!
だから貯金なんてしないよ!
こんな方もいるかもしれませんが、将来どうなっているか分からないからこそ貯金は重要です。
貯金をするということは、「休みたい時に休める自由」を手に入れるということです。
今を楽しみたいという方も、元気に働けるうちに、少しずつでも貯金をしていくようにしましょう。